ここ数年、駅のホームドアの設置がどんどん普及しています。
転落事故の防止にとても効果的なホームドア。
電車が来たら、車両のドアの開閉と連動して、ホームドアが開閉する。
一見単純なことに思われますが、ホームドアは駅に設置されているので、電車の車両ドアとは別のモノ。
電車の車両数も一定ではないので、車両があるホームドアだけ開閉が必要など、電車の車両ドアを連動させる仕組みはそれほど単純ではないのです。
ここ最近、車両ドアに大きなQRコードが貼られている電車を多く見かけるようになりました。
実はこのQRコードは、車両のドアとホームドアを連動して開閉するためのもの。
どんな仕組みか簡単に解説します!
QRコードを使用したホームドアの開閉システムは、
ざっくりこんな仕組みです。
そしてこのシステムの主なポイントは、
例えば、左右2つのQRコードが同方向に動いていれば走行中。別方向動いてればドアが開閉中、など。
50%欠損しても読み取れるので、貼り替え頻度が低く済む。
また、複数箇所のQRコードでドア数などの判別も行うため、1つのQRコードが破損しても影響を受けにくい。
QRコードを使用しない従来の開閉システムは、電車の走行システムやセンシング技術と連携した自動制御装置や、乗務員や駅係員による手動の操作が主流。
これらに比べQRコード方式は、近年スキャナカメラが安価になったことも背景に低コストで実現が可能になり、続々と普及が進んでいるようです。
RFIDタグは、わざわざ読み取りにいかなくても、表面が汚れていても読取可能。この点から考えると、QRコードよりも適してそう、な気がします。
ではなぜQRコードなのでしょう?ちょっと考えてみました!
(あくまでも個人の見解です)
【RFIDタグ】
・雨風にさらされ、障害物(小石など)も当たる車両の外面にRFIDタグを貼付するのは、耐久性の面で厳しい。
【タグリーダ】
・ホームドアの線路側に設置を想定。リーダは電子機器であり、雨風が強く当たる箇所への設置は耐久性の面で厳しい。
【性能・コスト】
・RFIDタグもタグリーダも耐久性の面で厳しいため、もし設置したとしてもメンテナンス面でコストが上がる。
・ホームドアの数だけリーダが必要。設置数が多くコストが上がる。
この状況下では、RFIDタグ、タグリーダ共に、設置環境として適しているとは言い難いですね。
【QRコード(tQR®)】
・車両ドアに貼られている既存の広告ステッカーと同素材で製作可能なため、新たな開発が不要。
さらに安価で製作可能なため、コストが抑えられる。。
・車両の開閉ドアに貼付するため、車両がホームに着く際にはQRコードは車体に引っ込み、いたずらされるリスクが低い。
・50%欠損OKのQRコードなので、貼り替えの頻度が抑えられる。
【スキャナカメラ】
・天井にカメラを設置すれば、雨風リスクが抑えられる。
・スキャナ機能のあるカメラの価格が低下しており、複数設置してもコストが抑えられる。
なるほど。この状況下では「QRコード」がとても効果的といえますね。
でも実はこの仕組みで一番重要なのは、
QRコードを「リーダではなくカメラで読み取っている」という点。
先に紹介した、このシステムの主なポイント
『①QRコードを左右のドアに貼付することで、電車の状態が把握可能。』
これは、ドアに貼られた2つのQRコードが『同じ方向に動いているか、別方向に動いているか』を把握して、車両が走行中 や ドアが開閉中 を判断するのですが、このような動きを把握できるのはカメラだから可能なこと!
専用のバーコード(二次元バーコード)リーダや、ICタグリーダでは不可能です。
QRコードを読み取れるスキャナカメラが安価になったことが、このシステムの普及につながっているといえるでしょう!
今回のような「決まったエリアをマーカー(RFIDタグやQRコードなど)がついたモノが移動し、それをリーダが読み取る仕組み」は、物流や製造現場でベルトコンベアなどのレーン上をモノが移動する工程と似ています。
この場合、
・モノの移動レーン(通過する箇所)が定位置(固定)であること。
・マーカーが、移動するモノの表面にほぼ同位置に貼付されていること。
・移動速度が高速過ぎないこと。
これらを満たす現場であれば、QRコードが効果的です。
バーコード、QRコード(二次元バーコード)、RFIDタグ、それぞれに適した使用箇所や使用方法があります。
お客様の現場ではどれが一番適しているか、先ずはそれを見極めることが重要です。
是非一度、ご相談ください!